墓石に蓮の花を刻むのは、仏教に深く由来した意味があります。
蓮は泥の中から清らかな花を咲かせることから「苦しみや迷いを超えて悟りに至る象徴」とされ、極楽浄土のシンボルでもあります。
そのため、亡くなった方が安らかに極楽へ導かれるようにとの願いを込めて彫られることが多いのです。
刻む位置としては、正面の文字の下や周囲に蓮の花を配置するケースが一般的です。
墓石の台座部分に蓮華座のような形で刻まれることもあり、この場合は仏像が蓮台に乗るのと同じ意味合いを持ちます。
墓誌や花立て部分に小さく彫刻する場合もあり、全体のバランスや宗派によって選ばれます。
人気のデザインは、シンプルな一輪の蓮を刻むものから、写実的に花びらを細かく表現したものまで幅広いです。
近年はモダンな墓石に合わせ、線画風の蓮やワンポイントとして入れるスタイルも好まれています。
いずれも故人への敬意と浄土への祈りを込めた象徴的な意匠といえるでしょう。